この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第10章 太陽は静寂を包む
「お前ぜってぇわかって言ってるだろ?」
伽耶が浮かべる笑顔につられて笑う。
「キスさせろ」
えっと目を丸くした伽耶を一瞬だけ捉えて、直ぐに唇を重ねた。
エレベーターは直ぐに到着してしまい、名残惜しげに唇を離す。
手を繋いでロビーへ出ると窓辺から外を眺めている吉信の元へと向かった。
「これ、俺の」
吉信はまじまじと伽耶を見つめた。
「こっち、俺のコーチで親父の桐生 吉信と、西原 然、こいつもプロのスノーボーダー予定」
「予定じゃないし」
伽耶の表情が一気に硬くなる。
「こいつ、耳が聴こえない」
「そうか、まぁ可愛いからいいだろう」
吉信は予想通り全く気にする様子はなく、にっこりと微笑んだ。
この笑顔に救われた日のことを少しだけ思い出した。
『宜しくお願いします』
ぺこっと頭を下げる伽耶。
「産まれた時から聴こえないの?」
ぽつりと発した然。
『10歳くらいからです』
「中途難聴って少しは音覚えてるって聞いたことあるんだけど、全く話せないの?」
然のそれに悪気なんてあるはずもなく、ただただごく当たり前に疑問を口にしただけ。
けれど、もしかして伽耶が話せたらなんて願望に伽耶の答えを待っていた。
伽耶が浮かべる笑顔につられて笑う。
「キスさせろ」
えっと目を丸くした伽耶を一瞬だけ捉えて、直ぐに唇を重ねた。
エレベーターは直ぐに到着してしまい、名残惜しげに唇を離す。
手を繋いでロビーへ出ると窓辺から外を眺めている吉信の元へと向かった。
「これ、俺の」
吉信はまじまじと伽耶を見つめた。
「こっち、俺のコーチで親父の桐生 吉信と、西原 然、こいつもプロのスノーボーダー予定」
「予定じゃないし」
伽耶の表情が一気に硬くなる。
「こいつ、耳が聴こえない」
「そうか、まぁ可愛いからいいだろう」
吉信は予想通り全く気にする様子はなく、にっこりと微笑んだ。
この笑顔に救われた日のことを少しだけ思い出した。
『宜しくお願いします』
ぺこっと頭を下げる伽耶。
「産まれた時から聴こえないの?」
ぽつりと発した然。
『10歳くらいからです』
「中途難聴って少しは音覚えてるって聞いたことあるんだけど、全く話せないの?」
然のそれに悪気なんてあるはずもなく、ただただごく当たり前に疑問を口にしただけ。
けれど、もしかして伽耶が話せたらなんて願望に伽耶の答えを待っていた。