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Vesica Pisces
第21章 …1。
「うん」

最後にぎゅっと抱きしめるとヴィクターはゲートをくぐって行った。

それから、1日に何度もメールが来た。

何万キロも離れた場所にいるのに、ヴィクターはまるでそれを感じさせない。

時間が合えば画面越しに話すこともある。

「再来月には日本に行くから」

「うん、待ってる」

深夜の電話を終えて、水でも飲もうかと一階に降りると、リビングのソファーに2つの頭が並んでいた。

付けっ放しのテレビは懐かしい洋画を映している。

グラスを片付けて、そっとテレビの前へ回り込むと、二人は寄り添って眠っていた。

透の手はしっかりと伽耶の手を握っている。

「…羨ましかった、二人のこと」

そっと二人にブランケットを掛けると、透は無意識に伽耶を抱き寄せた。

「でも、私も出会えたみたい」

テレビを消して、灯りを小さくすると、静かに部屋へ戻った。

スマホを枕元に置いて開けると、一通メールが届いていた。

「あい、大好き」

躊躇いことなく返事を送る。

「私も大好き」

ベッドに入って目を閉じる。

明日また新しい光に包まれて目覚めるために。





















終わり。
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