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Vesica Pisces
第15章 太陽は静寂を超える
透がオーストラリアに飛んで、いつもの日常を送る。
空港で撮影チームと落ち合った写真が送られて来たけれど、雪山に向かうとはとても思えない軽装だったのに笑ってしまった。
あの夜を思い出す度に胸の中に火が灯る。
離れていても透はそこにいた。
「ベトナム料理ねぇ」
就業中にスマホを見ていたのが悪いのだけれど、お昼休みに久々に会う嘉登と未知らと今夜何処に食事に行くかで盛り上がっていた。
それを背後から侑一に覗き込まれていた。
『盗み見しないで下さい』
「真剣な顔してるから…電話かかってるぞ」
画面には見知らぬ電話番号が表示される。
まただ。
昨夜も、今朝もかかって来ていたけれど、電話に出れるはずもないから、イタズラか詐欺かと思って放置していた。
「もしもし」
何かを察したのか侑一はスマホを取り上げると、その場で出てしまう。
一言二言で程なく切ってしまった。
『誰だった?』
「…ちょっと顔貸せ」
『今日中に終わらせなきゃいけない資料があるんだけど』
侑一は手元の資料を覗き込んでから、すぐ終わるからとパントリーまで促し、自販機でカフェオレを奢ってくれた。
空港で撮影チームと落ち合った写真が送られて来たけれど、雪山に向かうとはとても思えない軽装だったのに笑ってしまった。
あの夜を思い出す度に胸の中に火が灯る。
離れていても透はそこにいた。
「ベトナム料理ねぇ」
就業中にスマホを見ていたのが悪いのだけれど、お昼休みに久々に会う嘉登と未知らと今夜何処に食事に行くかで盛り上がっていた。
それを背後から侑一に覗き込まれていた。
『盗み見しないで下さい』
「真剣な顔してるから…電話かかってるぞ」
画面には見知らぬ電話番号が表示される。
まただ。
昨夜も、今朝もかかって来ていたけれど、電話に出れるはずもないから、イタズラか詐欺かと思って放置していた。
「もしもし」
何かを察したのか侑一はスマホを取り上げると、その場で出てしまう。
一言二言で程なく切ってしまった。
『誰だった?』
「…ちょっと顔貸せ」
『今日中に終わらせなきゃいけない資料があるんだけど』
侑一は手元の資料を覗き込んでから、すぐ終わるからとパントリーまで促し、自販機でカフェオレを奢ってくれた。