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Vesica Pisces
第21章 …1。
ヴィクターの指が軽やかに鍵盤を叩くと、それはかの有名な猫を踏んづけるアレで。
緩やかなテンポから、どんどんスピードを上げていく。
周りに囃し立てられながら、適当に鍵盤を叩く。
めちゃくちゃな音楽に、いつの間にか笑っていた。
笑いすぎて息も上がり、薄っすらと汗さえかいている。
遠くで母は涙を浮かべて、微笑んでいた。
「あー楽しかった」
「アイはジャズの才能あるよ」
「まさか!でも本当に楽しかった」
二人して熱を冷まそうと会場を出る。
大きな窓からはぽっかりと浮かんだ月が見えた。
「アイはトールから聞いてた通りだった」
「なんて?」
「可愛くて、優しくて…泣き虫」
何それと不貞腐れてしまう。
「…アイ、手、繋いでもいい?」
突然の申し出に悪い気どころか、素直に手を差し出してしまう。
「もうちょっと側に行ってもいい?」
言い終わると同時に、一歩近づいて肩が触れた。
「あなたを好きな僕が好きです」
「?どういう意味?」
「あとで調べて、わかったら連絡ちょうだい」
スマホを同時に振って、連絡先を交換した。
握った手のひらから、言い表わしきれない優しさと安心感が伝わる。
緩やかなテンポから、どんどんスピードを上げていく。
周りに囃し立てられながら、適当に鍵盤を叩く。
めちゃくちゃな音楽に、いつの間にか笑っていた。
笑いすぎて息も上がり、薄っすらと汗さえかいている。
遠くで母は涙を浮かべて、微笑んでいた。
「あー楽しかった」
「アイはジャズの才能あるよ」
「まさか!でも本当に楽しかった」
二人して熱を冷まそうと会場を出る。
大きな窓からはぽっかりと浮かんだ月が見えた。
「アイはトールから聞いてた通りだった」
「なんて?」
「可愛くて、優しくて…泣き虫」
何それと不貞腐れてしまう。
「…アイ、手、繋いでもいい?」
突然の申し出に悪い気どころか、素直に手を差し出してしまう。
「もうちょっと側に行ってもいい?」
言い終わると同時に、一歩近づいて肩が触れた。
「あなたを好きな僕が好きです」
「?どういう意味?」
「あとで調べて、わかったら連絡ちょうだい」
スマホを同時に振って、連絡先を交換した。
握った手のひらから、言い表わしきれない優しさと安心感が伝わる。