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Vesica Pisces
第3章 太陽は静寂を揺する
“大丈夫だよ?”

未知と嘉登が同じ表情で伽耶を見つめている。

「透、感じ悪かったよな、ごめん」

嘉登に謝られて慌てて両手を振って否定する。

「なんか…ちょっと恐かったかも、私達がここに居たのが面白くなかったんじゃない?」

「それはないわ、いつもはあんなんじゃないんだけどね、疲れてたんじゃね?」

未知は嘉登には感じた事をズバズバ言ってのける。

“私は気にしてないから”

それが本心なのかどうかまでは未知は突っ込まないけれど、心配してくれる優しさに伽耶は笑顔を向けることができた。

「和可菜!そろそろ帰ろっか?」

「え?帰るの?」

「ばんちゃん、またね」

万里に手を振って和可菜はあっさりと席を立つ。

「伽耶ちゃんも未知も、クリスマス空けといて」

嘉登が未知を引き止めて約束を取り付ける。

「嘉にい、私彼氏がいるんだけど?」

「そっちとはイブにいちゃいちゃしろよ、こんなけ早く言ったんだから25日は空けとけよ!」

「しょうがないなあ」

万里もクリスマスに参加するらしく和可菜を誘っていた。

未知の家までクリスマスパーティーの話で盛り上がった。

交換するプレゼントを何にしようかとか、持ち込みの料理を何にしようかとか。

そして何より透も来るのだろうかという淡い期待が伽耶の胸を高鳴らせて居た。
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