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Vesica Pisces
第3章 太陽は静寂を揺する
加速するバイク、僅かな怯みもなくエンジン全開で跳び上がった透は空中でバクフリップコンボとフレアの異次元トリックを見せた。

会場の観客もこちらも総立ちになる。

「や、だっ、何あれ?!凄っ!ね?伽耶、凄いよねっ!!」

目を見開いたままの伽耶を揺する和可菜。

「マジ透、スゲェッ!!」

「アイツ、やべぇなっ!!」

得点が出ると断トツの一位で…優勝祝いに託けて次々に祝杯をあげた。

「透!!おめでとうっ!」

テレビの反対側に置いたパソコンの画面にグラスを掲げる。

其処には満面の笑顔でビールを傾ける透が映っていた。

「人んちで勝手に盛り上がんなよ」

パソコンのカメラの前で次々に祝言を述べていく。

「ほら、伽耶!私たちも行こ!」

和可菜に背中を押されてカメラの前に二人して並ぶ。

「透さん、おめでとうございまーす!凄かったですね!!カッコよかったです!」

「ありがと」

伽耶は両手を画面の端まであげて…下ろした。

「伽耶もおめでとって!ね?」

頷くと透の表情は翳っていた。

初めて会った時と同じ、怒っている様な透の表情を直視するのが辛くなる。

視線を逸らそうとした途端画面に映り込んだ人。
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