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こじらせてません
第2章 馴致
(……ん? ……うわっ)

偶然……と思うが、彼の歯が乳首に当って腰が慄いた。

ソファについていたヒップの接面がヌルリとした。

(えっ、ちょっ、うそっ)

おそるおそる、アキラに気づかれないように脚を緩めて下腹を覗き込むと、パステルカラーのスキニーは前の方まで色が変わっていた。

ボタンから手を離し、奥へ指を差し込む。

「やっ、はっ……」

グッショリとしていた。

とたんに、ミサは弱気になった。

ミサは勇者ではなかった。しかし、赤面した。

これは見せられない。他者承認欲求が許さない。

折しもアキラが、乳首の先から唇へ糸をつないで、顔を離した。
目線を下へ向けさせてはいけない。

「アキラくんっ……」

グッショリとしたところに触れたばかりの指だが、アキラの頬へ添えて引き寄せ、深いキスをした。

バストをほぐしたまま、応えてくれる。
ピチャピチャと音が立つ。
明るい。ここはリビングだ。
アイマスクは寝室にある。二つ、備えておくべきだった。

「ミサ、さん……」

バストにあった手が、脇腹から腰へ降りてくる。

「し、したい?」
「したい、です」
「そ、そう、じゃ、ベッド……」
「がまん、できない、よ」

ここで、キュン死レベルの顔を、向けれられた。
身がくねって、脳効率が落ちていくが、決死の思いでアキラの手首を取って、バストへ戻させた。

自分から揉ませるような形になって、頭から煙が出そうだが、やむをえない。

「がまん、できない?」
「うん……」

額を擦り合わせ問うと、切なげな声が聞こえた。

体のすぐ前で、神威が脈打っていた。

……。

「はっ、あっ……、ミ、ミサさんっ……!」
「……きもちいい?」

神威の首を握り、ゆっくりと動かしてやる。

初めて触れた。
触れただけで、身がわなないた。

指で作った輪をくぐらせると、傘縁が指腹を擦ってくる。
透明の啓示が漏れて、接面が撥ねる。

「ダ、ダメだよ、ミサさん、そんなことしたら……」
「きもちいいかどうか、きいてるの」
「すっごく……きもちいいです」

それを聞いて、なぜかミサのほうも脳が溶け落ちそうになった。

「こっち向いて」

視界いっぱいにアキラが広がる。
手首にスナップを利かせるたび、こちらの脳髄を融解させてくる表情を、連発する。
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