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こじらせてません
第2章 馴致
そんなことをしたら、いきなり勃っていたことがバレてしまうではないか。
だがそう思うにつけ、舌が乳首をいらうたびに、ゾクゾクが背中をざわめかせていく。

アキラがもうひとつへ移るころには、ゾクゾクでは済まなくなった。
ピンッと弾けると、腰もクイッと動いてしまう。

(でも……、なんか)

ミサは両手でアキラの頭を抱え、髪に指を埋めて撫でていた。

もちろん経験はないが、授乳させている気分だった。

(やっぱ、マザコン、なのかなぁ……)

許可を得て真っ先に乳首へ。完全に黒とはいえないが、グレーではある。

おそらくは、とミサは思った。

女がマザコンに嫌悪をいだくのは、優柔不断や自立していないところ、それそのものではない。
きっと、性根が母親に依存しているところにある。

マザコンに耐えかねて離婚する人も、夫が様々な決定を姑のほうへ委ねることが、我慢ができないのだろう。

母親はその人が一番最初に出会う女性であり、未熟で弱いころから守り、代わりに、決めてくれてきた人だ。歴史がある。容易に勝てる相手ではない。

あるいは、未熟で弱いころに母親を失ってしまうと、他の人が手厚い庇護を受けているのを見ては、憧憬が実際以上に母親像を理想化してしまうのだろう。観念の中の人物であるから、物質世界の人よりも、さらに手強くなる。

アキラは、後者だろう。

品のよさというものは、生得ではない。
自分にとっての祖母を省みるまでもなく、彼は父親に、そのように育てられてきた、ということだ。やはり、厳しかったものと想像される。

そういった対抗心と、不本位に強いられる闘争が、嫌悪感を生むのだ。

「ん、アキラくん、いいよ。すごく……じょうず」

あやうく、あられもなく喘ぎそうになるから、知ったようなことを言って繕った。
吸っていないほうのバストは、下からすくいあげるように優しくほぐしてきている。

であるならば、とミサは思った。

アキラの切迫が、思春期ならではの性の欲求に餓つえてのことなのか、別れてすぐの母親への代替を求めてであるのか、確かめたい。

ミサはスキニーのフロントボタンに手をかけた。

すべてを見せてしまっても、スカートの中と同じ、あるいはそれ以上の熱情をぶつけてくるのか問いたい。
この場所に、淫情を感じるのか、母性を感じるのか。
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