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こじらせてません
第4章 拘繋
だいたい、初体験のおり、しがみついて、痛い、けれども嬉しいとぬかしていたそうだから、ちょっと考えればわかるだろう。
首輪やビキニといったあらゆる「他の愛玩動物・同用品」に込められた念を感じてくれていたようだから、ちょっと考えればわかるだろう。
姉や継母のことを知ったとき、規制されていることは重々承知の上、一緒に暮らしたいと言ったのだから、ちょっと考えればわかるだろう。
生理のおりには抑えきれないだろうから、慎みをかなぐり捨てて、様々な趣向を凝らして報いてやろうとしたのだから、ちょっと考えればわかるだろう。
理絵子にはまことにもうしわけないが、たとえ彼女を傷つけても、たとえ今の社会的地位を追われても、誰でもないあなたに、大丈夫なのかと藁をつかもうとしたのだから、ちょっと考えればわかるもんだろう。
──言いえぬものについては、沈黙しなければならない。
女性特有の器官だけではない。
体じゅうがウズウズして、したたっている。
心地よさに朦朧とする。夢見心地である。
夢を見ながら、「私は夢を見ている」と言ったとしても、それは正しい発言ではない。実際に雨が降っている時に、夢の中で「雨が降っている」と大声で伝えても、やはりそれは正しい発言ではない。
だかいま、雨音がする。
どしゃ降りである。
何もかも蹴とばした荒野に、雨を降らせている。
ただし波紋から目を離し、雲間を眺めると、必ず明るい月が顔を出してくれるのだった。
「――き」
アキラを見つめたミサが、ごく小さな声で言うと、
「なんでですか」
と、なんともずるい質問をしてきた。
「……世界のすべてだから」
ミサはもうすぐ幸せな誕生日を迎える。
~ おわり ~
首輪やビキニといったあらゆる「他の愛玩動物・同用品」に込められた念を感じてくれていたようだから、ちょっと考えればわかるだろう。
姉や継母のことを知ったとき、規制されていることは重々承知の上、一緒に暮らしたいと言ったのだから、ちょっと考えればわかるだろう。
生理のおりには抑えきれないだろうから、慎みをかなぐり捨てて、様々な趣向を凝らして報いてやろうとしたのだから、ちょっと考えればわかるだろう。
理絵子にはまことにもうしわけないが、たとえ彼女を傷つけても、たとえ今の社会的地位を追われても、誰でもないあなたに、大丈夫なのかと藁をつかもうとしたのだから、ちょっと考えればわかるもんだろう。
──言いえぬものについては、沈黙しなければならない。
女性特有の器官だけではない。
体じゅうがウズウズして、したたっている。
心地よさに朦朧とする。夢見心地である。
夢を見ながら、「私は夢を見ている」と言ったとしても、それは正しい発言ではない。実際に雨が降っている時に、夢の中で「雨が降っている」と大声で伝えても、やはりそれは正しい発言ではない。
だかいま、雨音がする。
どしゃ降りである。
何もかも蹴とばした荒野に、雨を降らせている。
ただし波紋から目を離し、雲間を眺めると、必ず明るい月が顔を出してくれるのだった。
「――き」
アキラを見つめたミサが、ごく小さな声で言うと、
「なんでですか」
と、なんともずるい質問をしてきた。
「……世界のすべてだから」
ミサはもうすぐ幸せな誕生日を迎える。
~ おわり ~