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こじらせてません
第4章 拘繋
彼の体へ手を回した。ストッキングを脱げばよかった。
足裏が床に滑って後悔した。自分からヒップを浮かしづらい。
いたしかたなく、叫喚したことも地平の彼方へ蹴とばし、
「うごいて」
と告げた。
(うーっ!)
アキラが微動しただけで、そう思念した。いかなる記号をもって部屋の中に響いたかは知れないが、ここはアキラと自分のための部屋なのだから、誰に迷惑をかけるわけでもなかった。
「ミサさんの中も、すごくあたたかいです」
アキラの記号も聞こえてきた。
自分は何を言ったのだろう。
(うあっ)
軟蓋まで押し込まれて、襟首が敏感なポイントを小突いてくると、花蜜があふれた。
「ここ、ですか?」
また、聞こえてきた。
自分は何を言ったのだろう。
(う、うっく……う?)
侵入角を保って集中的に撹拌していた神威が、やおら出力を弱めた。
「ミサさんは……言ってくれない」
そう聞こえてきた。
「え?」
「僕は言ったのに」
言わなかったらしい。
頭の後ろで両手を組んで、唇を「3」の字にして、口笛を吹きたい。
要はトボけたかったのであるが、マンガのようにはいかなかったし、間違いなく、性愛に満ちた今の場にはふさわしくなかった。
「ミサさんの口から、一度も聞いたことない」
「う……。……オ、オロナは、うかるに言えないころもあるの」
いましがたうかつにダダ漏れにしたところだったが、思っていたより脳が融けており、そちらのほうがとにかく恥ずかしい。
頭の後ろを掻きつつ、ペロッと舌を出して、ウインクしたい。
要はゴマかしたかったのであるが、マンガのようにはいかなかったし、間違いなく、性愛にあふれたアキラを失望させる。
やはり、マンガのようにはいかないのだ。
そんなもん、切片の集積ですから、とミサはかつての発想を地平の彼方へ蹴とばした。
足裏が床に滑って後悔した。自分からヒップを浮かしづらい。
いたしかたなく、叫喚したことも地平の彼方へ蹴とばし、
「うごいて」
と告げた。
(うーっ!)
アキラが微動しただけで、そう思念した。いかなる記号をもって部屋の中に響いたかは知れないが、ここはアキラと自分のための部屋なのだから、誰に迷惑をかけるわけでもなかった。
「ミサさんの中も、すごくあたたかいです」
アキラの記号も聞こえてきた。
自分は何を言ったのだろう。
(うあっ)
軟蓋まで押し込まれて、襟首が敏感なポイントを小突いてくると、花蜜があふれた。
「ここ、ですか?」
また、聞こえてきた。
自分は何を言ったのだろう。
(う、うっく……う?)
侵入角を保って集中的に撹拌していた神威が、やおら出力を弱めた。
「ミサさんは……言ってくれない」
そう聞こえてきた。
「え?」
「僕は言ったのに」
言わなかったらしい。
頭の後ろで両手を組んで、唇を「3」の字にして、口笛を吹きたい。
要はトボけたかったのであるが、マンガのようにはいかなかったし、間違いなく、性愛に満ちた今の場にはふさわしくなかった。
「ミサさんの口から、一度も聞いたことない」
「う……。……オ、オロナは、うかるに言えないころもあるの」
いましがたうかつにダダ漏れにしたところだったが、思っていたより脳が融けており、そちらのほうがとにかく恥ずかしい。
頭の後ろを掻きつつ、ペロッと舌を出して、ウインクしたい。
要はゴマかしたかったのであるが、マンガのようにはいかなかったし、間違いなく、性愛にあふれたアキラを失望させる。
やはり、マンガのようにはいかないのだ。
そんなもん、切片の集積ですから、とミサはかつての発想を地平の彼方へ蹴とばした。