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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに
月日の流れは早い。
成沢さんと2人の朝食もあっという間に5日目となった。
今日は金曜日。
朝も特に何も言わなかったが、いつも金曜日には必ずと言っていいほど
帰りにも店に寄っているので、たぶん成沢さんもそのつもりでいるだろう。
私も、そのつもりでいた。
だが、めずらしく取引先に出向いた後に
社長と共に食事に誘われた。
本当はまだ仕事が残っているので遠慮したかったのだが、
めったにない事だし、それにせっかく声をかけてもらったという事もあり、
少し早目の夕食をご馳走になることにした。
有名な中華料理店での食事に会話を弾ませる私だったが、
心の中は急いた気持ちでいっぱいだった。
食事を終えたら会社に戻ってやりかけの仕事を終わらせなければならない。
その残業が嫌なのではない。
もしかしたら喫茶・薔薇色の閉店時間に間に合わないかもしれない、
それが気になっているのだ。
喫茶・薔薇色の閉店時間は一応8時。
常連の私たちが長居することはあるが、8時になると閉店の看板を出している。
・・間に合うかしら・・
会話で笑顔を見せながらも、胸の内では眉根をよせていた。