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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに

「閉店の時間になって、店を閉めなくてはと頭の中で繰り返しました。
さあ、看板を出して、鍵をかけて、灯りを落として・・
何度もそうしようとしたけれど・・体が動きませんでした。
まだ村山さんが来ていないじゃないか、店を閉めてしまったら
コーヒーを飲んでもらえないじゃないか、いや・・会えないじゃないか、と・・」
途切れた言葉の後の沈黙は、思ったよりも心地よかった。
空気の流れも息づかいも、静まり返る店の中をふんわりと漂っている。
私は・・そっと顔を動かし成沢さんの姿に目をやった。
自身の手元を見つめる横顔を見ていると、だんだんと鼓動が大きくなってきた。
ドキドキと音が聞こえそうなほど、心臓の動きが激しくなる。
もうはるか遠くなってしまった過去に味わった、甘酸っぱい感覚・・
私の視線を知りながらも手元に落としていた成沢さんの視線が、
私と絡み合った。
まだ私は、言葉を失ったままでいた。
さあ、看板を出して、鍵をかけて、灯りを落として・・
何度もそうしようとしたけれど・・体が動きませんでした。
まだ村山さんが来ていないじゃないか、店を閉めてしまったら
コーヒーを飲んでもらえないじゃないか、いや・・会えないじゃないか、と・・」
途切れた言葉の後の沈黙は、思ったよりも心地よかった。
空気の流れも息づかいも、静まり返る店の中をふんわりと漂っている。
私は・・そっと顔を動かし成沢さんの姿に目をやった。
自身の手元を見つめる横顔を見ていると、だんだんと鼓動が大きくなってきた。
ドキドキと音が聞こえそうなほど、心臓の動きが激しくなる。
もうはるか遠くなってしまった過去に味わった、甘酸っぱい感覚・・
私の視線を知りながらも手元に落としていた成沢さんの視線が、
私と絡み合った。
まだ私は、言葉を失ったままでいた。

