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薔薇色に変えて
第8章 想いのままに
「妻を亡くしたばかりでもう他の女性を気にかけるなんて、
 なんだかんだといっても薄情な男だと思われるかもしれません。だけど、
 あなたのことをただの知り合い、薔薇色で知り合った仲間というくくりにしたくはない。
 それが正直な私の気持ちです・・」

肩で大きく息をする成沢さんの横顔。
さっきと違って悪戯を見つかった子供の様にバツの悪そうな笑みを浮かべていた。

「あの時・・駅のホームで腕を掴まれた時のあなたの真剣な目・・
 まっすぐな目だった。
 思い返すたびにあの力強さが蘇ってくる・・
 こんな事を言うと気を悪くされるかもしれないけど・・妻と重なりました。
 落ち込んだ時に背中をたたいて励ましてくれる妻の勢いに似ていた・・
 だけどこうして薔薇色で接していくうちに全くの別物で、
 その別の優しさや力強さに少しづつ、惹かれていったんです」

あの時・・私は必死だった。
あとから思うと笑いしか出てこないが、でもあの時の私は
彼を死なせてなるものかとありったけの力を出して腕を引っ張った。

もしかしたらあれが、彼にとって、そして私にとっての運命の導きだったのかもしれない。

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