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薔薇色に変えて
第4章 金曜日の常連
成沢さんは、金曜の夕方に喫茶・薔薇色に来るようになった。
ハンカチをいただいた翌週は、会社主催の飲み会があったので薔薇色には行かなかったが、
月曜の朝に小此木さんがご丁寧にも報告してくれた。
「今度成沢さんがお店にきたらラインで知らせるよ。
あ、村山さんスマホ持ってないね」
80になる年寄りがスマホを扱えるっているのに、30歳も年下の私は
いまだにガラケーでがんばっている。
遅れてるよ、と小此木さんに鼻で笑われた。
「いいんですよ、スマホは無くても生きていけますから。それにメールはできるでしょ?」
なんだかんだ言いながら、そこは外さない。
どんな手段でも構わない。情報をおしえてくれるなら。
「でも・・めずらしいですね、マスターがそんなお節介するの。
なにか・・企んでるんじゃないでしょうね?」
私は大先輩をからかいながらも、心の隅で不思議に思った。
どうしてわざわざ私に成沢さんが来ている事を知らせるのか。
知らせるという事は、店に寄れ、ということか。
それはいったい何のために?
もしかしたら、私の、成沢さんへの興味に気がついたからだろうか。