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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
成沢さんが「喫茶・薔薇色」に通い始めて2ヶ月が過ぎた。
相変わらず金曜の夕方に成沢さんは来ていたが、
私のほうは帰りに寄れない事も何度かあった。
会いたいと思う気持ちと、近づきすぎてはいけないという気持ちが交錯している事もあり、
寄れない理由が特別あるわけじゃなくても素通りすることもあった。
今週は、薔薇色に寄ることにした。
先週は女友達との飲み会で金曜の夜をアルコール漬けにして過ごしたので、
今週はおとなしくコーヒーで我慢することにしたのだ。
「こんばんは」
ガランと鳴ったカウベルの音にかき消されないような大きな声をあげると、
店の中の全員がドアを振り返り私に注目した。
めずらしくお客が多い。
成沢さんを取り巻くようにして3人のオヤジたちが座っている。
桜井さんだけじゃなく、織田さん、そして三枝さんまでいる。
ついでに三枝さんの奥さんの道子さんまで。