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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
「まあ今日はずいぶんと賑やかですね。
 夕方にこんなにお客さんがいるの、久しぶりじゃないですか?」

占領されていたテーブル席を見下ろすように、カウンター席に座った。

「三枝さんとこ、お店どうしてるんですか?道子さんと二人してここにいるってことは」

「ああ、もう店閉めてきたんだよ。マスターから売上協力お願いしますって
 ラインがきたんでね」

三枝さん夫婦は古書店を営んでいる。
取り立てて趣味の無い私はちょくちょく通っている。
夫婦二人で細々と営んでいる店を閉めさせてまで呼びつけるとは、
小此木さんの図太さには逆に感心させられる。

「うわぁマスターったら、とうとう強制徴収ってわけですか?
 さすが、カメの甲より年の功ってやつですね」

その言い草が的を得ていなかったらしく、

「それどういう繋がり?年の功ってあんまり関係ない気がするけど?」

古書店を営むだけあって国語にはうるさい三枝さんに、鼻で笑われてしまった。

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