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薔薇色に変えて
第5章 思いがけない報告
「妻を亡くして8ヶ月。会社を辞めて半年が過ぎました。
気持ちも大分落ち着き、そして気力も戻ってきました。なので
仕事をしようという気にもなってきたのですが・・
職安に行っても50を超えるとなかなか仕事もないし。
この先、雇われて小さくなって働くよりも自分で何かを始めようかと思い始めました。
それで・・この薔薇色の様な喫茶店を開けたら、と思ったんです」
固唾をのんで話しに聞き入る私の前に、小さな音をたてて
コップとコーヒーカップが置かれた。
注文せずとも小此木さんはコーヒーを淹れてくれていた。
さっそくコーヒーを口につける私と目があった成沢さんは、さらに話を続けた。
「私はここで・・この喫茶・薔薇色ですくわれました。
ただ呼吸だけ繰り返すような、生きている意味の感じられない毎日から
人とのふれあいの温かさのおかげで抜け出すことができた気がするんです。
この先、今度は私が誰かの役に立てるような仕事をしたいと思いまして。
小此木さんの様な素晴らしいマスターには到底なれないでしょうが、
少しでも近づけたら、と。でもバイトを雇うほどの余裕はないでしょうから、
給料はいらないから教えてほしいとお願いしたんです」
気持ちも大分落ち着き、そして気力も戻ってきました。なので
仕事をしようという気にもなってきたのですが・・
職安に行っても50を超えるとなかなか仕事もないし。
この先、雇われて小さくなって働くよりも自分で何かを始めようかと思い始めました。
それで・・この薔薇色の様な喫茶店を開けたら、と思ったんです」
固唾をのんで話しに聞き入る私の前に、小さな音をたてて
コップとコーヒーカップが置かれた。
注文せずとも小此木さんはコーヒーを淹れてくれていた。
さっそくコーヒーを口につける私と目があった成沢さんは、さらに話を続けた。
「私はここで・・この喫茶・薔薇色ですくわれました。
ただ呼吸だけ繰り返すような、生きている意味の感じられない毎日から
人とのふれあいの温かさのおかげで抜け出すことができた気がするんです。
この先、今度は私が誰かの役に立てるような仕事をしたいと思いまして。
小此木さんの様な素晴らしいマスターには到底なれないでしょうが、
少しでも近づけたら、と。でもバイトを雇うほどの余裕はないでしょうから、
給料はいらないから教えてほしいとお願いしたんです」