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禁煙チュウ
第3章 過去現在
石井はキスの時目を閉じるようになった。
身を任せてくれているようで嬉しい。可愛いな、と思う。
本当に単純でしょうもないけど、自分が浮かれに浮かれているのがわかる。
ちょっと前まで元カノが結婚して落ち込んでたっていうのに。
でもしょうがなくないか、普通に可愛い女の子としょっちゅうキスできるなんて。
年下で、でも俺を見くびってる風の、いつでも近くにいる女の子。
タバコを吸えないのはまだ結構きついけど、元カノ云々はだいぶ心の中で小さくなってしまった。
それこそ飴が溶けたみたいに。
ポケットの中でスマホが鳴って、唇を離した。
「わたし先準備してますね」
石井はそう言うとするりと脇を抜けて店に入っていった。
体が離れてなんとなく体温が下がった気がする。
誰だ、いいとこだったのに。
「もしもし」
着信を確かめもせず電話に出る。
「……」
「?」
電話の向こうからはサーという空気の音しかしない。
「誰……」
「久しぶり」
俺の問いかけの言葉を遮って聞こえてきたのは、元カノの妙に明るい声だった。
「は……」
「元気?」
「え、あ、おう」
ふふっ、と彼女の笑う気配。
「お店空いてる? 今から行っていい?」
「はっ? えっ、なんで」
思わず大きい声が出る。
窓の外で仲良くじゃれていた猫たちが驚いて逃げていった。
身を任せてくれているようで嬉しい。可愛いな、と思う。
本当に単純でしょうもないけど、自分が浮かれに浮かれているのがわかる。
ちょっと前まで元カノが結婚して落ち込んでたっていうのに。
でもしょうがなくないか、普通に可愛い女の子としょっちゅうキスできるなんて。
年下で、でも俺を見くびってる風の、いつでも近くにいる女の子。
タバコを吸えないのはまだ結構きついけど、元カノ云々はだいぶ心の中で小さくなってしまった。
それこそ飴が溶けたみたいに。
ポケットの中でスマホが鳴って、唇を離した。
「わたし先準備してますね」
石井はそう言うとするりと脇を抜けて店に入っていった。
体が離れてなんとなく体温が下がった気がする。
誰だ、いいとこだったのに。
「もしもし」
着信を確かめもせず電話に出る。
「……」
「?」
電話の向こうからはサーという空気の音しかしない。
「誰……」
「久しぶり」
俺の問いかけの言葉を遮って聞こえてきたのは、元カノの妙に明るい声だった。
「は……」
「元気?」
「え、あ、おう」
ふふっ、と彼女の笑う気配。
「お店空いてる? 今から行っていい?」
「はっ? えっ、なんで」
思わず大きい声が出る。
窓の外で仲良くじゃれていた猫たちが驚いて逃げていった。