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禁煙チュウ
第15章 ハッピー・エンド(?)
雪乃さんは驚くわたしの目を見て微笑んだ。
「これ、返そうと思って。でも店には入りづらいしどうしようと思ってたんだ。ちょうど良かった」
鞄から取り出したハンカチを差し出す、その綺麗にネイルされた手に目が行く。
近づくと良い匂いがして。この人が、宮田さんがずっと好きだった人なんだなぁと妙に納得してしまった。
「はい。ありがと」
ぼーっとしているわたしの手に雪乃さんはハンカチを握らせた。
「あ、はい」
「……」
「……」
二人して少し黙り込む。
沈黙を破ったのは雪乃さんだった。
「ね、哲の様子どう?」
「え。えーと」
どう答えようか。わたしはこの人をどう思えばいいかもよく解らなかった。
好きな人の元カノへの嫉妬、とか、宮田さんをからかって酷い人だ、とか、頭を掠めるけれど心が動かない。
浮かぶのは宮田さんのわたしを見る優しい顔ばかりで。
黙っているわたしの肩に雪乃さんはポンと手を置いて、そして笑った。
「あはは! もう元カノなんか全然関係ないって顔してるね」
ものすごく明るい声でそう言うと、
「まぁそりゃそうか。あの哲があんなメッセージ入れてくるくらいだし」
と手に持ったスマホを振って見せた。
「メッセージ、ですか」
「うん。……聞きたい?」
「え」
「……やっぱだめ」
「え」
「ふふ」
雪乃さんは笑ってわたしの耳に唇を寄せた。
「これ、返そうと思って。でも店には入りづらいしどうしようと思ってたんだ。ちょうど良かった」
鞄から取り出したハンカチを差し出す、その綺麗にネイルされた手に目が行く。
近づくと良い匂いがして。この人が、宮田さんがずっと好きだった人なんだなぁと妙に納得してしまった。
「はい。ありがと」
ぼーっとしているわたしの手に雪乃さんはハンカチを握らせた。
「あ、はい」
「……」
「……」
二人して少し黙り込む。
沈黙を破ったのは雪乃さんだった。
「ね、哲の様子どう?」
「え。えーと」
どう答えようか。わたしはこの人をどう思えばいいかもよく解らなかった。
好きな人の元カノへの嫉妬、とか、宮田さんをからかって酷い人だ、とか、頭を掠めるけれど心が動かない。
浮かぶのは宮田さんのわたしを見る優しい顔ばかりで。
黙っているわたしの肩に雪乃さんはポンと手を置いて、そして笑った。
「あはは! もう元カノなんか全然関係ないって顔してるね」
ものすごく明るい声でそう言うと、
「まぁそりゃそうか。あの哲があんなメッセージ入れてくるくらいだし」
と手に持ったスマホを振って見せた。
「メッセージ、ですか」
「うん。……聞きたい?」
「え」
「……やっぱだめ」
「え」
「ふふ」
雪乃さんは笑ってわたしの耳に唇を寄せた。