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17歳の寄り道
第30章 【結愛編】結愛の春休み
「あー、おもしれ。結愛メッチャキレてる」
「なんで笑うのっ」

昔は私も――何を差し置いても小林先輩が私の一番だった。
遥のことも大事だったけど……先輩しか見えなくて。

でも、今は……。

もし、私が遥の傷を癒せるなら、今まで助けてくれた分、力になりたいって思う。

私でいいじゃん。そんな子じゃなくていいじゃん。遥、私のこと好きだったじゃん――と、喉まで出掛かるが、困らせるのは目に見えているので我慢する。

遥がその子を庇えば庇うほど、私の感情は乱れて行く。
まだそんなに好きなのに、何で行動に移さないの?


遥を悲しませるような子は、大っきらい。
二股かけるような女は、大っきらい。
あんな純情そうな顔して。
そんな女に似てるって言われたくない。
膝の上で拳を作っていると、遥が笑った。

「結愛、ありがとう。心配してくれて」

少し痩せて大人びた遥が、私の髪を撫でた。
学年一つしか違わないのにいつもお兄さんぶる。


二人で、親の帰りを待ちながらお留守番してた時、ホットケーキを焼いてくれたこと。
先輩の話を、げんなりしながらも聞いてくれてたこと。
一緒に宿題したこと。
ちょっとだけエッチな遊びをしたこと。
くだらないことで笑い合ったこと。

先輩に動画を撮られた時、先輩を殴りに行くって泣きながら怒ってくれたこと。
遥が優しくしてくれたこと、今でもずっと覚えてる。
だから、絶対に幸せでいてほしい。



時間はあっという間に過ぎ、もうすぐ17時になる。
また寮の前の道で下ろしてもらい、ヘルメットを返した。

「遥……また遊んでくれる?」
「いいよ。でも事前に連絡な」
「うん。また、連絡する」
「おう。じゃあな」

遥が帰って行く。
その後ろ姿を見届けながら、私はある決心をしていた。
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