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第2章 艶羨

　はじめもわたしも二十七歳。
　彼の周りにも、わたしの周りにも結婚する友達が増えた。子どもを何人も授かり、毎日忙しそうにしている友達だっている。

　はじめはわたしとの結婚について、どんなふうに考えているのかしら。
　こんな──セックスの相手にもならないような女とは、いつか終わりが来ると思ってはいないだろうか……。そう思うと、急に不安な気持ちがこころの中になだれ込んできた。
　ザラザラとした不安。まるで乾いた風が砂埃を巻き上げるような──。

　はじめにとって、わたしはどういった存在なのだろう。
　セックスレスを解消したいとアレコレ対策を考えるのは、ふたりのため……なのよね？　
　彼の欲望を満たすためだけに考えているわけではないはず。
　だって、彼もわたしのことを大切に思っているって言ってくれたから……。大丈夫よ。彼に限って、そんな……わたしを見捨てるようなことはしないはず……。

　混沌とした思いが胸の中を占拠する。
　テレビか何かで、セックスレスは離婚理由になり得ると聞いたことがある。結婚すらしていないわたしたちは、いったいこの先どうなってしまうのかしら。

　あぁほんとうに……どうにかしなくちゃ。
　彼に嫌われないように、どうにかして気持ちを切り替えていかなくちゃ。
　彼だって、いつか子どもが欲しいと思っているかもしれない。
　彼を拒むわたしに不信感を持ってしまうかもしれない。

　今はまだ「待つよ」と言ってくれているけれど……、この先どう変わるかわからない。
　優しい言葉に甘えてばかりじゃ、彼に悪いわ……。