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幼い獣たちは愛を知る
第4章 情以上
 俺はアストンの口元に耳を近づけた。
「え……?」
『俺にもお前を守らせろ』って、そう言った?
 俺が驚きに目をぱちぱちしていると、今度はボルガさんを目で呼ぶ。反対側から耳を寄せたボルガさんに、
「こいつも、抱き締めて、抱いてやって。やり方、覚えるから」
 って。
 俺とボルガさんは目を見交わした。
「さっきのが、本当なら」
 アストンはそう付け加えると、マットレスにぽすんと沈んでから俺ら二人に向けてほわりと笑った。
 そこで俺は、アストンが笑うのをずっと見てなかったのに気づいたんだ。
「さっきのって……?」
 恐る恐る尋ねると、アストンはボルガさんに頷く。自分で言えって言うみたいに。
 だから俺がボルガさんに目を移すと、ボルガさんは目をしぱしぱさせたあと片方の奥歯を噛み締めるように頬を歪めて、
「アストンさんは繊細で可愛らしく、あなたは……素直で可愛らしい」
 その頬がほんのりと染まる。ボルガさんは肌白いからすごくわかりやすい。
 俺が言葉をなくしてると、まだ足りないのだと思ったのか、
「お二人は私にとって宝物です。その気持ちは初めてお会いしたときより強い」
 早口で付け加えた。
 思い出した。この人、テレビ局の控え室に向かう俺たちを見てチャドさんにマネージャーとして志願したって誰かが言ってたっけ。だとしたらほんとに仕事だからやってるってだけじゃないだろうし、俺らの上っ面だけしか見てないわけでもないだろう。
 俺はさっきと違う意味で泣きそうになりながら、こんな素敵なプレゼントをくれたアストンにキスをした。それから『見て覚える』って言ってくれたアストン越しに、ボルガさんに 手を伸ばしたんだ。
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