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セックスレス・快感と安息を求めて-
第12章 優しい男・松山裕
「・・・
別れようと思う…」
私は松ちゃんにそう切り出した。
「だったら家に居れば良いよ」
「・・そうだね、ありがとう……」
私の一言に、松ちゃんはそうとだけ答えてくれた。
別段オヤジと別れるのに不都合は無い…
元々冷え切ってたんだ、未練すらもありはしない。
別れたとしても住む場所はあるし、手続きも簡単‥だって婚姻届を出していないのだから。
そう、20年近く内縁関係‥それ以上発展する事は無く、住所変更さえすればオヤジとは完全に切れる。
ずっと分かっていた、オヤジは私を家族とすら認めていなかった事。
だから私は反発を繰り返し、後戻りの出来ない所まで‥いや違う、初めから何も無かったんだ。
周りが勝手に夫婦と思い込み、私も一緒に住んでいるからそう思い込んでいただけ。
こう‥何かにつけてオヤジに脅され、二言目には『離婚するぞ!』という言葉が私を縛り付けていた。
離婚?
結婚もしていないのに、離婚なんてある訳ないのに……
私は何を勘違いしていたのだろうか??
脅迫とも取れる脅しに、そう思い込まされていただけ。
そりゃ楽しい事もあった、辛い事もどちらも沢山。
20年近く一緒に居たんだから、あって当たり前の話。
だけど今回だけは‥違う……
完全に壊れた物は二度と戻る事は無い‥何をしても……
ずっと松ちゃんと一緒に居るのかと聞かれたら、どうとは答えられない。
松ちゃんは松ちゃんの悩みがある、そこに私が立ち入る気は無いから。
だけど暫くは松ちゃんと一緒だとは思う…
やっとオヤジという呪縛から解放してくれた松ちゃんなら、上手くやっていけそう。
そう‥今は変更手続きの為に色々動いている…
早く終わらせて、オヤジから解放されたい。
自由になって、もう一度人生をやり直す…
それが私の決めた道だから・・・・・
了