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難問 -兄妹の領域境界-
第16章 炬燵の罠
なぜか私の部屋の炬燵で丸くなっているものを見る。
高校3年を控え、冷え性の私は受験勉強にいち早く備えて冬休みに入ると同時に炬燵を自室に新調した。
そして、早くもうちの猫は炬燵を目当てに忍び入り安眠を貪っている。

「こんなに大きな猫飼った覚えないんだけどな」

私も寒さに震えながら、すでに温められている炬燵の中へと入る。
ご主人様が戻ってきたのに、起きる様子が全くない。

「気持ちよさそうに寝ちゃって・・・」

黒い毛並みを撫でながら、その感触を楽しむ。
見ているほうが眠気を誘われてしまいそうになる。

(ちょっとだけ・・・)

そう自分に言い訳をしながら、自分も横になり黒猫のほうへすり寄る。
雪の降る音が聞こえてきそうなしんとした状況の中、かすかに聞こえる寝息。
炬燵の熱が、ジンと冷えていた身体に染み透っていく。
気持ちよさに微睡んでいると、腕を舐められた感触。

「猫が起きた」

「誰が猫だって?」

「目の前にいる、大きな黒猫」

その言葉にニヤリとした猫が、今度は唇を舐めてくる。

「猫は炬燵が定石だろ」

「自分の部屋にも置けばいいのに」

「未由の部屋にあるならいらないだろ」

どういう理屈だと思いながら、目の前の舐めてばかりいる大きな猫を見ていると、昔の番組紹介で出ていたなめ猫を思い出す。
思い出しながら、目の前の黒猫とそっくりのイメージがツボに入る。

「ふふっ、なめ猫ってお兄ちゃんそっくりだよね」

一瞬考えた後、言いたいことが分かったのか渋い顔をする。

「ウルサイ」

舐められていた唇がふさがれる。

唇が離れた後、やはり兄もツボに入ったのだろう、目が合った瞬間お互い吹き出してしまう。

「ん」

兄が大きいクッションを私の下に差し入れてくれ、自分の頭ものせコツンを額を合わせてくる。

「初売りとか行かなくてイーノ?」

年末年始の旅行があったため、福袋は諦めた。初売りは行きたいと思っている。

「行きたいけど、雪だし」

「雪?」

「結構積もり始めてるよ」

「マジカヨ」

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