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難問 -兄妹の領域境界-
第17章 入学式の疑惑
気が付けば目の前にいる兄。

「和也何やってる」

「え、やっぱ俺なの?」

「未由、早く戻れ」

「う、うん」

心が晴れないまま、教室へと戻った。

今日は簡単なHRで終わり、奈月ちゃんと下駄箱で靴を履き替えていると、兄が待っているのが見えた。

お兄ちゃん迎えに来てくれたのかな・・・と考え、ハッと隣にいる奈月ちゃんの存在を思い出す。

「キャー!佑人さん相変わらずイケメンですね!」

「気のせいだ」

普通に会話をしだす二人。心の中の墨が広がっていく。

「未由、早くしろ」

その光景に固まっていると、声をかけられ我に返る。
奈月ちゃんが私と兄を何度も見比べると突然

「妹ちゃん!?」

「へ・・・?」

「和也の妹、よりによって同じクラスなのかよ」

兄が奈月を見ながら眉をしかめる
え・・・和也さんの・・・妹!?

「妹ちゃん、口ぱくぱくさせてかわいー」

いつの間にか、和也さんもそばにいる。

「なんでお前がここにいる、3年の下駄箱は1階だ」

「そりゃ、かわいいかわいい妹を迎えに来たんだよ。それより妹ちゃん今朝から挙動不審だけどほっといていいの?」

「キモイこというなチャラ男」

奈月ちゃん和也さんとも知り合いなの?ますます混乱する私。
って、和也さんにかなり失礼な言葉だと思うよ奈月ちゃん・・・

「え、いや、その・・・」

和也さん余計なこと言わないで!

「まぁ十中八九佑人のせいだな」

「はぁ?」

「んじゃまぁ、俺らは帰るわ」

そういいながら、和也は奈月を引きずりながら帰っていった。
一体何が起こっているんだろう。



とりあえず兄と並んで帰る私。

「未由、和也に何言われた」

「何も言われてないよ」

「・・・様子がおかしい」

「モテてるお兄ちゃんみてびっくりしただけ」

「なんだソレ、モテてねぇ」

中学校の時と全く立ち位置が違う兄に動揺したのだ。
きっとそう。

せっかくの入学式なのに、なぜか私の心の中は曇り空のようだった。


Fin
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