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難問 -兄妹の領域境界-
第17章 入学式の疑惑
教室に入ると、ほとんど見知った顔はなかった。
周りにはたくさん高校があるため、同じ中学から進む人は少なく同じクラスになる可能性はさらに低い。
クラスの初顔合わせ。ここでクラスに溶け込む必要がある。
しかし私は、さっき見た兄と新入生が話していた姿が目に焼き付いて離れない。
そこへ、先ほど兄と楽しそうに話していた女子生徒が教室に入ってくる。
ちらりと黒板に書かれた席順を見て私のほうに歩いてくる。
「初めまして、坂井奈月です!席が近いのも何かの縁だと思って仲良くしてね!」
と言って、私の前の席に座った。
明るく元気の良い挨拶に圧倒されながらも反射的に自己紹介を返す。
「私は篠田未由です。こちらこそよろしくね」
「いきなりだけど未由ちゃんって呼んでいい?同じ苗字の知り合いがここにいてねー」
朝の兄との姿がフラッシュバックする。
なんとも言えない気持ちになるけれどよくわからない。
「私も奈月ちゃんって呼んでもいいかな?」
「もちろんだよー!」
明るくサバサバした性格な奈月ちゃんはとは気が合いそうだと嬉しく思う心に、墨が1滴落ちた気がした。
その正体はその時に未由には理解できるものではなかった。
入学式が終わり、教室に帰ろうと歩いていると突然声をかけられる。
「お、妹ちゃんみっけ」
「あ、和也さんご無沙汰しています」
相変わらずの人気振り。通り過ぎていく新入生がちらちらと「かっこいいねー」と話している。
「佑人にはもう会った?」
「あ、いえ・・・」
朝の風景を思い出し、顔が曇る。
「喧嘩でもした?顔が暗いよ」
「えっ・・・いやそんなんじゃないです」
「まぁなんかあったら相談においで」
「ありがとうございます」
見知った顔にほっとしたのか、知らずと緊張していたからだの力が抜けた。
そんな時に限って視界に入ってしまう、何人かの上級生らしき女子生徒に囲まれている兄。
せっかく緊張がゆるんだのに体が強ばり、兄から隠れるように和也の後ろに隠れ袖をつかむ。
「え、未由ちゃん?どうしたの」
「お兄ちゃん、モテるんですね」
「あー、最近特に色気出し始めたからな。俺には負けるけど」
「ふふっ、和也さんカッコいいですから」
「未由ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいね・・・って、ヤバ見つかった」
周りにはたくさん高校があるため、同じ中学から進む人は少なく同じクラスになる可能性はさらに低い。
クラスの初顔合わせ。ここでクラスに溶け込む必要がある。
しかし私は、さっき見た兄と新入生が話していた姿が目に焼き付いて離れない。
そこへ、先ほど兄と楽しそうに話していた女子生徒が教室に入ってくる。
ちらりと黒板に書かれた席順を見て私のほうに歩いてくる。
「初めまして、坂井奈月です!席が近いのも何かの縁だと思って仲良くしてね!」
と言って、私の前の席に座った。
明るく元気の良い挨拶に圧倒されながらも反射的に自己紹介を返す。
「私は篠田未由です。こちらこそよろしくね」
「いきなりだけど未由ちゃんって呼んでいい?同じ苗字の知り合いがここにいてねー」
朝の兄との姿がフラッシュバックする。
なんとも言えない気持ちになるけれどよくわからない。
「私も奈月ちゃんって呼んでもいいかな?」
「もちろんだよー!」
明るくサバサバした性格な奈月ちゃんはとは気が合いそうだと嬉しく思う心に、墨が1滴落ちた気がした。
その正体はその時に未由には理解できるものではなかった。
入学式が終わり、教室に帰ろうと歩いていると突然声をかけられる。
「お、妹ちゃんみっけ」
「あ、和也さんご無沙汰しています」
相変わらずの人気振り。通り過ぎていく新入生がちらちらと「かっこいいねー」と話している。
「佑人にはもう会った?」
「あ、いえ・・・」
朝の風景を思い出し、顔が曇る。
「喧嘩でもした?顔が暗いよ」
「えっ・・・いやそんなんじゃないです」
「まぁなんかあったら相談においで」
「ありがとうございます」
見知った顔にほっとしたのか、知らずと緊張していたからだの力が抜けた。
そんな時に限って視界に入ってしまう、何人かの上級生らしき女子生徒に囲まれている兄。
せっかく緊張がゆるんだのに体が強ばり、兄から隠れるように和也の後ろに隠れ袖をつかむ。
「え、未由ちゃん?どうしたの」
「お兄ちゃん、モテるんですね」
「あー、最近特に色気出し始めたからな。俺には負けるけど」
「ふふっ、和也さんカッコいいですから」
「未由ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいね・・・って、ヤバ見つかった」