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難問 -兄妹の領域境界-
第18章 2次関数のグラフ
上映時間のタイミングが合い、あまり待つことなくプラネタリウムへ入ることができた。
リクライニングされている椅子に座ると、想像している以上に体が疲れていたことに気付く。
今日は朝早めの時間からいろいろ周っていた。

照明が落ちると同時に視界いっぱいの星空。
それを見て、つい最近星空を見た時の記憶がよみがえる。

(ぁ・・・)

脳内の記憶とともに、身体もその時の感覚を思い出す。
あの日初めて知った甘く激しい感覚。
その片鱗が身体にともる。

あれは夢ではなく現実だった。
甘く疼いてしまうことに動揺していると、煽るように指がからめとられる。

「・・・っ」

甘い疼きが全身に広がり溶けてしまいそうな感覚に襲われる。

午前中は病院へ行った。
約束通り、一緒についてきてくれた。
前は内診が怖くて結局行かなかった病院。女医がいる病院を探していってきた。
診察はあっけなく、体に問題は無いということで薬は処方された。
その薬を飲むことの意味、それをわからないはずがない。

星空を眺める。
あの時の覚悟は本心だ。すべて受け入れ、支配されることを望んだ。
結局兄は甘い快感だけを私の体に覚えさせ、すべてを奪うことはしなかった。
私の身体を大切にしてくれていたのだとは解っている。兄の覚悟も。

いっそあの時すべて奪ってくれれば・・・、そんな思いを込めて絡めている指に力を込める。
旅行から戻ってきて、非現実世界から現実世界に戻された。
雰囲気にのまれて覚悟したわけではない。
けれど・・・、最初は気のせいだと思っていたとてもとても小さな不安・・・いや恐怖。
それは日増しに大きくなっている。今日は特に。

それは、覚悟していたことに対する恐怖ではない。
未来への恐怖ではなく、過去への恐怖だ。

今まで一度として、兄が兄じゃ無ければよかったと思ったことはない。
むしろ逆に、自分以外の兄であってほしくない。

けれど私が欲したものは、得れば得るほど過去の兄妹としての関係を別のものに塗り替えてしまう。
確固としてあった関係の土台が少しずつバランスを欠き、今立つ場所がどんどん脆く崩れ去りそうな恐怖。

"二兎追うものは一兎を得ず"

ふと心に浮かんだ言葉。私は震える手をやさしく包まれたことにすら気づかなかった。
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