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難問 -兄妹の領域境界-
第18章 2次関数のグラフ
まだ日が落ちる前に家に着いた。
靴を脱ぐときに初めて、ずっと洋服の紙袋を兄に持たせたままだったことに気付く。

「お、お兄ちゃん持たせたままだったね、ありがと」

「ん」

渡された紙袋の重さに気づくほど私の気持ちに余裕はなかった。

「荷物おいて着替えてくるね」

そういって自分の部屋に向かった。

荷物部屋の隅に置き、とりあえずルームウェアに着替える。
そして、立ち尽くしたままどれくらいの時が経ったのだろう。

コンコン

部屋をノックする音が聞こえドアが開く。

「お兄・・・ちゃん」

部屋に入ってきた兄を見て、知られている・・・と確信した。

「未由、炬燵つけて座って」

いわれるがままに、スイッチを入れ崩れるように座り込む。

目の前に温かいココアの入ったカップがおかれる。
兄は自分のコーヒーのカップを置き、私の隣に座って炬燵に入る。

「ココアありがと」

一口飲むと、温かさが全身に広がる。
いつの間にか体が冷えていたことに気づいた。

「ん、大丈夫か?」

何の"大丈夫"なのかをはかりかねて返事をするタイミングを逃してしまう。

どうしよう、これから何を言われるのだろう。
家族としての兄も、そうでない兄も両方欲しがる浅ましい自分。
兄に夢にしないことを強要したくせに。

涙が零れ落ちる。認識したとたんそれは止めることができず溢れ出す。

そっと抱き寄せられ、こぼれる涙をすくうようにまぶたへ唇が触れる。

「お兄ちゃん・・・」

(お兄ちゃん、どうしたらいいの・・・)

「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ」

「うん」

優しく頭を撫で、零れる涙に何度も何度も唇を這わせてくれる。

「お兄ちゃんがいいっ」

私は何を言っているんだろう。何を伝えたいんだろう。

「未由・・・」

(あ、私変な言い方した・・・!?)

全身から血の気が引く。
兄の動きが止まり、何かを考えるような気配がするけれど見ることができない。

抱きしめていた腕が離れていき、そのまま立ち上がり部屋を去っていく。

「え・・・?」

イヤだ、行かないで、イヤ・・・置いていかないで、一人にしないで!!!





ナニモカンガエラレナイ




オワリ?



オワリナノ?



頭が真っ白になる。













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