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難問 -兄妹の領域境界-
第19章 巡るテキスト
(想像以上だ・・・)

初めは、体の向きを変えるたびにテーブルが腰にあたりどうにかならないかとショッピングサイトを開いた。
いろいろ調べるうちに、妥協したくない気質のせいか他に何か便利なものはないかと調べはじめていた。
今まで家に炬燵が存在していなかったため、テーブルに布団をかけて中を温めるくらいの認識だったが知らないうちに炬燵を取り巻く世界は変化していたようだ。
気が付けば思いつく限りの炬燵用品注文していた。
自分の部屋の炬燵ではないにも関わらず。

注文していた品が昨夜全てそろった。

部屋の主がピアノの練習で部屋を空ける2時間を利用して、こっそり・・・いや大胆に購入したものを設置した。

30分もかからず設置が終わり、その作品の仕上がり具合を確かめるべく、俺は炬燵に入る。
快適すぎる状態に、動きたくなくならないうちにせめて・・・と飲み物だけ冷蔵庫から仕入れてくる。

1階に下りると、ピアノの音がよく聞こえてくる。
初めは客間だった部屋は、グランドピアノ導入とともに洋室へとリフォームされ練習部屋となっている。
二人の子供が想像以上にピアノへ真剣に取り組む姿に、両親も惜しくない投資と考えてくれたのだろうか。

(まさか2台買ってくるとは思わなかったけどな・・・)

共働きの上に、二人ともそれなりの立場にいるため収入はおそらく多いだろう。
さらに二人とも塾に通うことなく、すべて学校も国公立という親孝行のかいもあったのか。
それとも、あまり自分たちに手をかけられなかった後ろめたさがったのか。

どちらにせよ、2台ピアノの曲を弾く機会も出てきたためありがたかった。

適当に飲み物とグラスを手に取り、流れてくるピアノの音色を聴きながら戻っていった。


(これを見たら驚くだろうな、未由)

過ぎる快適さを存分に味わいながら、より快適な姿勢を探すように転がる。
妹の驚く姿を想像し、笑いそうになる。

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