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難問 -兄妹の領域境界-
第19章 巡るテキスト
「えっと、興味ないわけでは・・・なくて、勉強したほうがいいとは思うんだけど」

「うん」

耳元で囁いた声に呼応して未由がしがみついてくる。
そんな未由の背中をそっと手で包みながら耳への悪戯を続ける。

「わからないことだらけで、何処から手を付けたらいいのかもわからないの」

「全くわからない?」

唇を耳だけではなく首筋にも這わせていく。

「はぁっ・・・」

切なげな声が耳元で聞こえてくる。息が荒くなっていくのがわかる。

「えっと・・・、お兄ちゃん・・・に教わった所が難しすぎてわからないから」

俺はあの日の星空を思い出す。
何の質問もできないくらい教わることで必死だったんだろう、教える俺にも余裕などなかった。

突然、胸元にしがみついていた未由の両手が俺の背中にまわり、強く抱きしめられる形になる。
急な動きに驚き、胸に顔を埋めている未由を見る。

「だから・・・」

未由はそう呟いた後、ゆっくりと顔を上げ俺を見つめる。
目を逸らすことを許してくれないまっすぐな瞳。

「最初から、全部お兄ちゃんが教えて?」

その瞬間、俺の中で何かが砕けた。
砕けたものの中身が全てを飲み込む勢いで流れ出す。
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