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難問 -兄妹の領域境界-
第20章 積まれたテキストと兄達の苦悩
机の上にはカバーのかかった本が積まれている。
冬休みが残り数日となった今になって与えられた5冊のテキスト。

テキストは文字による説明から、図解など詳細に記されている。
とはいえ、未知なる分野というわけでもない。


「まぁ、全部教えてやるといったからには自分が理解していないとな」

適当に1冊を手に取りベッドに寝転がりながら読む。
昔から本はたくさん読んでいたせいか、特技:速読と書けるくらいには読むスピードは早い。
この程度の本であれば30分もかからないだろう。

そう思ってとりあえず一気に読み進める。

そして20分後、本を閉じる。

「マジかよ」

女はこんな本を読んでるのか。
男性向けのものとは全く異なる内容。同じ行為を書いてるのに、だ。
これを先に読まれていたら、と得も言われぬ敗北感に襲われる。
と同時に、内容を知ることなく初めての時間を満ち足りたものになったことに安堵を抱く。

未由以外に興味もなかったため、自分も初めての経験。
兄として、妹を不安にさせないために必死だった。

(しかし・・・面白い視点だ)

この内容を未由に教えるとき、未由はどんな表情をするのだろうか。
どんな声を聴かせてくれるのだろうか。

佑人の探求心へのスイッチが入る、かつて無い程の意欲を掻き立てて。
勉強でもスポーツでも、やるからには妥協は許さない佑人。
それが未由のためならなおさら。

残りの本を瞬殺し、さらにパソコンを開き真剣に画面に向かう。
テキストの内容を参考に、いろいろ調べる中気づく。

(父さん、どんだけ知識持ってたんだよ)

調べていると、父に教えられたことの多さに驚く。

(ってか、息子に何教えてんだ)

まさかそれが娘で活かされるとは想像もしなかったと思うが。

その日、窓の外が白むまで佑人の勉強は続いた。
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