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難問 -兄妹の領域境界-
第21章 命題の逆
余計なことをしゃべっている気もするけど、まぁいいか。
未由ちゃんには何か、余計なことを言っても大丈夫という安心感がある。
「同じですね」
「そうだな」
そうか、そういうことか。
そりゃ隙が無いわけだ。
正直今日話をするまではあまりいい印象を持ってなかった。
彼女のせいではなく自分の個人的な原因で、だが。
「どうしようもなくなったら、俺のとこ来ていいから」
そう言うくらいには、大切な存在になった。
そこに恋愛感情はないけれど。
「私、刺されたくないです」
穏やかに答える未由ちゃん。
いったことの意味を理解してくれているのがわかる。
「刺すようなタイプに手は出してないんだけどなぁ」
「でも手は出してるんですね」
佑人が執着する理由がわかった気がする。
佑人にとって、未由ちゃん以上の存在はいないんだろう。
そして、なぜ俺と佑人のウマが合うのかも。
否定したかったんだけどな。
逆に応援したくなってしまった。
「あ、そろそろ行かないとお兄ちゃんが心配してきちゃうかも」
テスト週間だから一緒に帰る約束をしてるのか。
「こんなところ見られたら俺殺されるわ」
「あー・・・」
「大切にされてるんだな」
困ったような悲しい微笑みが帰ってくる。
だよな、大切にされているからつらい。
「あ、これ・・・」
メモ紙に電話番号とメールアドレスを書いて渡す。
「佑人には内緒、本当に緊急時にね」
今まで女の子に自分から連絡先を教えたことはない。
でも、なんとなくそうしておかなければいけない気がした。
「コートもありがとうございました」
「こっちこそ、時間取らせたね。ありがとう」
改めて未由ちゃんの頭の回転の良さを思い知る。
連絡先を渡した意図も多分渡した俺以上にわかってる気がする。
「じゃぁ、俺はこのまま帰るから。またね」
「はい、また」
穏やかな笑顔で軽く会釈をして校舎へと向かっていく。
俺の立てた命題は真か偽か。
今回命題の逆が真だったとしてもそれはまだ証明の1要素でしかない。
それにしても、晴れ渡った空がなぜかいつもより心地よく感じる。
久しぶりにすっきりした気分で校門を出た。
Fin
未由ちゃんには何か、余計なことを言っても大丈夫という安心感がある。
「同じですね」
「そうだな」
そうか、そういうことか。
そりゃ隙が無いわけだ。
正直今日話をするまではあまりいい印象を持ってなかった。
彼女のせいではなく自分の個人的な原因で、だが。
「どうしようもなくなったら、俺のとこ来ていいから」
そう言うくらいには、大切な存在になった。
そこに恋愛感情はないけれど。
「私、刺されたくないです」
穏やかに答える未由ちゃん。
いったことの意味を理解してくれているのがわかる。
「刺すようなタイプに手は出してないんだけどなぁ」
「でも手は出してるんですね」
佑人が執着する理由がわかった気がする。
佑人にとって、未由ちゃん以上の存在はいないんだろう。
そして、なぜ俺と佑人のウマが合うのかも。
否定したかったんだけどな。
逆に応援したくなってしまった。
「あ、そろそろ行かないとお兄ちゃんが心配してきちゃうかも」
テスト週間だから一緒に帰る約束をしてるのか。
「こんなところ見られたら俺殺されるわ」
「あー・・・」
「大切にされてるんだな」
困ったような悲しい微笑みが帰ってくる。
だよな、大切にされているからつらい。
「あ、これ・・・」
メモ紙に電話番号とメールアドレスを書いて渡す。
「佑人には内緒、本当に緊急時にね」
今まで女の子に自分から連絡先を教えたことはない。
でも、なんとなくそうしておかなければいけない気がした。
「コートもありがとうございました」
「こっちこそ、時間取らせたね。ありがとう」
改めて未由ちゃんの頭の回転の良さを思い知る。
連絡先を渡した意図も多分渡した俺以上にわかってる気がする。
「じゃぁ、俺はこのまま帰るから。またね」
「はい、また」
穏やかな笑顔で軽く会釈をして校舎へと向かっていく。
俺の立てた命題は真か偽か。
今回命題の逆が真だったとしてもそれはまだ証明の1要素でしかない。
それにしても、晴れ渡った空がなぜかいつもより心地よく感じる。
久しぶりにすっきりした気分で校門を出た。
Fin