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難問 -兄妹の領域境界-
第1章 夏休みの宿題
両親は残り1週間にもかかわらず宿題が終わっていない私にあきれながら、珍しくバイトがない兄に宿題を見てやれと言いながら仕事へ行った。
冷房が苦手な私は普段クーラーをつけないが、暑くないわけではない。
「ほら、せっかく見てやってんだからさっさとやれ。」
見てやってると言いながらわきに目をつぶりながら寝そべる大学1年になる兄の佑人を恨めしそうに眺める。
「だってわかんないんだもん。」
雲一つない晴れ渡った空。真夏日の昼下がりとだけあり、扇風機だけではとてもではないけれど暑く汗がにじむ。
お世辞ではなくかっこいいといえる、口に出さないけれど自慢の兄。
大学生になって急激に大人びたきがする。
高校生とは違う、大人の男性を感じさせる無駄な肉にないしなやかな筋肉。
やんちゃさが抜けた、どこか余裕のある落ち着いた所作。
なんとなくおいて行かれた気がして、一瞬寂しさが胸を襲う。
「ほら、どこがわからないんだよ」
佑人は起き上がり、私の隣に座って問題集をのぞき込む。
目の前に黒髪とそこから続く少し日に焼けた肌、首のライン、汗のにじんだ鎖骨。
「ん、この問題わかんねーの?」
「えっ、あ・・・」
反応に遅れた私に問いかけるようにのぞき込む。
視線が絡み合った瞬間、うるさかったはずのセミの鳴き声が遠ざかり漆黒の瞳に囚われる・・・・
暑かった部屋が、さらに1度上がったような錯覚。
ゆっくりと何かに引き寄せられるようにどちらかともなく重ねられた唇。
何か体を突き抜けるような感覚に思わず目を閉じる。
そして離れてはまたかすめ、何度も触れ合う。
「んっ・・・」
離れる唇の代わりに絡む視線と指先。
言葉はない。
絡めていない反対の手が、これ以上ないくらい優しく私の頭をなでる。
その心地よさをさらに感じたくて瞼をそっと閉じると、その瞼にそっと唇が触れる。
そのまま、額、頬、鼻の頭、顎を何回か軽くついばんだあと少し長めに唇に触れて、なでていた手が未由の頭を佑人の左肩に導く。
促されるままに頭を肩にのせ、普段のやさしさの欠片もない姿との差に思いをはせる。
ほとんど感情を表に出さなく、無口。たまに口を開いたかと思えば人を小ばかにするような態度。
(ホント何様よ・・・)
冷房が苦手な私は普段クーラーをつけないが、暑くないわけではない。
「ほら、せっかく見てやってんだからさっさとやれ。」
見てやってると言いながらわきに目をつぶりながら寝そべる大学1年になる兄の佑人を恨めしそうに眺める。
「だってわかんないんだもん。」
雲一つない晴れ渡った空。真夏日の昼下がりとだけあり、扇風機だけではとてもではないけれど暑く汗がにじむ。
お世辞ではなくかっこいいといえる、口に出さないけれど自慢の兄。
大学生になって急激に大人びたきがする。
高校生とは違う、大人の男性を感じさせる無駄な肉にないしなやかな筋肉。
やんちゃさが抜けた、どこか余裕のある落ち着いた所作。
なんとなくおいて行かれた気がして、一瞬寂しさが胸を襲う。
「ほら、どこがわからないんだよ」
佑人は起き上がり、私の隣に座って問題集をのぞき込む。
目の前に黒髪とそこから続く少し日に焼けた肌、首のライン、汗のにじんだ鎖骨。
「ん、この問題わかんねーの?」
「えっ、あ・・・」
反応に遅れた私に問いかけるようにのぞき込む。
視線が絡み合った瞬間、うるさかったはずのセミの鳴き声が遠ざかり漆黒の瞳に囚われる・・・・
暑かった部屋が、さらに1度上がったような錯覚。
ゆっくりと何かに引き寄せられるようにどちらかともなく重ねられた唇。
何か体を突き抜けるような感覚に思わず目を閉じる。
そして離れてはまたかすめ、何度も触れ合う。
「んっ・・・」
離れる唇の代わりに絡む視線と指先。
言葉はない。
絡めていない反対の手が、これ以上ないくらい優しく私の頭をなでる。
その心地よさをさらに感じたくて瞼をそっと閉じると、その瞼にそっと唇が触れる。
そのまま、額、頬、鼻の頭、顎を何回か軽くついばんだあと少し長めに唇に触れて、なでていた手が未由の頭を佑人の左肩に導く。
促されるままに頭を肩にのせ、普段のやさしさの欠片もない姿との差に思いをはせる。
ほとんど感情を表に出さなく、無口。たまに口を開いたかと思えば人を小ばかにするような態度。
(ホント何様よ・・・)