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難問 -兄妹の領域境界-
第5章 命題の対偶
和也は、高校に入ってできた友人の篠田佑人家に招かれた・・・わけではなく押しかけている。

入学して、ほとんど知らない人間ばかりのクラスメイト。
女子はすぐグループを作り始めていたが、俺は適当に席の近いやつとつるんでいた。

そんな中こいつは、佑人だけは一人でいつも窓の外をみていた。
不機嫌そうな顔をしているうえに、変な威圧感を感じさせていたので俺だけではなくほかのクラスメイトも声をかけることはなかった。
何より本人が誰かと話すことを望んでいるようには見えなかった。

それなのに、なぜか佑人の存在が心に引っかかっていて、つい目で追ってしまう。

さりげなく見ているうちに、無口で不機嫌なのではなく不機嫌そうな顔が地顔だということが分かった。
必要に迫られた奴が話しかけるときちんと返事をするし、授業で指されれば堂々と発言する。

自分から周りにかかわろうとはしていないが、周りを拒否しているわけではない、周りの人間がかかわろうとしていないだけだ。

(面白そうなヤツだ・・・)

上辺だけの友人には事欠かない俺が初めて佑人を知りたいと思った。

そして、中学の頃からやっていたバスケットボール部に入部したらそこに佑人の姿もあった。
そんなことも嬉しくなる。

実際に一緒にプレイしてみるとますます興味が出てくる。
まるで俺が次に何をするかわかっているかのような的確なパス、絶妙なコンビネーションはすがすがしいほど圧倒的だった。
相手を出し抜いた時の、片側の口角をあげが得意気な顔が俺に笑みとやる気を出させた。

部活では、まるで昔からのコンビだったかのように見事に息の合ったプレイしているにもかかわらず、教室に入ると俺に目もくれない。
目すら合わないのだ。

さすがに俺も面白くない。
昼休み。いつものように窓の外を眺める佑人の前の席に座り話しかける。

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