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難問 -兄妹の領域境界-
第7章 夢の中で解く旅人算
「未由」

唇が離れるすきをぬって苦しそうに名前を囁かれる。
胸が締め付けられ体の中心の温度が上がる。

「お兄・・・ちゃん・・・」

舌が深く差し込まれる。

「ぅんっ・・・」

次第に深さを増す。今までこんなにも長く口づけることはなかった。
それでも足りない・・・とねだるように舌を絡める。
これはきっと夢、こんなに大胆になっているのは夢の中だから。

そう自分に言い聞かせ、さらなる刺激を求め兄の首に腕を巻き付けすがる。

「んっぁ・・・んっ・・・ふぁ・・・」

兄の瞳が一瞬揺れる。

「ふ・・・ぁ・・・っ・・んんんっ・・・・」

きつく抱きしめられる。
もう、止まらない。止められない。

兄が、この人が愛しい。
もう自分をごまかすことはできない。
この気持ちは、兄妹としての範囲からとっくに外れていた。
戻ることができないくらい遠く。

「んっ・・・ぁ・・・・はぁっ・・・」

永遠とも感じられた口づけが終わり唇が離れる。
名残惜しく思いながら、上がる息を整える。

強く抱きしめられ、甘えるように首元へ頭を摺り寄せる。

「未由、わかっているのか?」

兄のどこか覚悟を秘めた声が耳元で聞こえてくる。
今まで一切触れてこなかったことについて、初めて兄が触れる。

わからないわけがない。私はさっき自分の気持ちに名前を付けてしまった。
もうごまかすことはできない。なかったことにするなんて考えられない。

私はコクリとうなずく。

兄が腕を緩め私を見つめる。
きれいな瞳。名を得てしまった気持ちはもう私自身でも止めることができない。
この瞳を、この人をもっと近くに感じたい。独り占めしたい。

兄は苦しそうな表情をした後、私をそっと抱き上げた。

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