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難問 -兄妹の領域境界-
第12章 卒業テスト
「お兄ちゃんが良ければ・・・なんだけど、第2ボタンほしい」

「は?」

「えっ、あ、変なこと言ったよね!ごめん忘れて」

「いや、こんなんでいいならやるよ」

あまりにもあっけない内容で、身構えていた俺がバカみたいだな。
あまりの自分の間抜けさに、思わず笑ってしまう。

ボタンをはずし、未由の手に収める。

「あ、ありがとう、大切にする・・・ね?」

恥ずかしそうに俺を見ながら、ボタンを大切そうに手で包む未由の姿に胸が高鳴る。

「あ、あぁ、鞄かどっかにキーホルダ代わりにつけとけ」

つけとけば男除けくらいにはなるだろう・・・
ぼーっと未由に見とれながらうわごとのようにつぶやく。

「うん、そうしようかな・・・って・・・ぇ・・・」

その時俺は、無意識に未由に唇を重ねていた。
触れた時の得も言われぬ幸福感に思考は完全に停止する。

一瞬驚いた未由もすぐにそのままを受け入れる。

長く触れていた唇がそっと離れ見つめあう。

未由が再度目を閉じたのを合図にもう一度重なる唇。

そこはもう二人だけの世界だった。

未由をそっと抱き寄せ、両腕で体を包む。
抱き寄せられるまま佑人に寄り添い背中に手を添える。

繰り返し唇を重ね、無意識の中で残っていた男除けの印というキーワードに
佑人の行動は支配され、未由の首筋を強く吸う。

そのまま体を寄せ合いながら、佑人はぼんやり白い肌にある一片の紅い花びらを見つめていた。

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