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篠突く - 禁断の果実 -
第12章 過去編五話 初めての

壁を隔てて絶望に打ちひしがれた二人の頬を、涙は止めどなく流れていく。
泣くくらいなら、愛など交わさなければ良かったのか。こんなに苦しくなるくらいなら、セックスなどしなければ良かったのか。
どうして彼は、私の弟だったのだろう。
どうして彼女は、俺の姉さんだったのだろう。
もしも姉弟でなかったのなら、もしも赤の他人だったのなら、私達はこんな思いをすることはなく、何処にでもいる平凡なカップルとして互いを愛することができたのだろうか。
……いや、きっとそれは違う。私達は姉弟だからこそ、恋に落ちたのだ。
苦しくなりながらも互いを求めることをやめられぬ日常が、これから先も続くことになるとは、この時はまだ知る由もなかった。

