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淫欲の果てに。人妻・怜香32歳の記録
第2章 漆黒の扉に導かれて

甘ったるいドリンクの後には、辛みや苦味のあるものが欲しくなる。しかししばらくすると、また甘さのあるものが欲しくなる。
甘さと辛さを交互に欲し、両方を永遠と味わう。私たち人間の何かを欲する欲望は、消えることがない。
その後は、梨美の仕事の話、恋愛に発展しそうだけど向こうの態度がはっきりせず煮え切らない男性の話などが続く。元々アルコールに弱い体質の私だが、今日は喉の乾きが止まらず、ドリンクを飲む手も止まらない。
そろそろ帰ろうかという頃、伝票を見ると、私は自分が酔ってしまう限界量にギリギリ達しないくらいの数のアルコールを飲んでしまっていた。
いちど、外へ出てみれば、何かが変わるかもしれない。何も変わらなくても、気分だけは紛れるかもしれない。
だんだんと酔いがまわってきた私は梨美を連れ、駅から離れた奥のほうの路地へ歩いて行ってみることにした。
そうしてやってきたのが、都心のにぎやかな駅前から少し離れたところにある「Signal」というバーだった。
気重な気分を紛らわせるために小洒落たバーを選ぶなんて、我ながら安直すぎる。だけど今夜は、このまままっすぐ家に帰るつもりはなかった。
濃い茶色の看板を横目に、地下にある扉を開けると、内装が茶色と黒で統一された暗い店内が広がっている。カウンターの向こうにはおそらく40代と20代の男性のバーテンダーが2人おり、テーブル席には1組のカップルのような男女が座り、静かにグラスを傾けていた。
いらっしゃいませ、と若いバーテンダーに迎えられた私たちは、カウンター席に通される。いかにも落ち着きのあるバーといった雰囲気の静かなピアノの音楽が流れる、心地のいいお店…。
「初めての方ですよね?1杯目は何をお飲みになりますか?」
「私、こういうところのお酒はあまりわからなくて…」
「では、お好みに合わせたものをお作りさせていただきますよ。苦手なものなどはありますか?
「いえ、特にないので…お任せします」
「ちょっと…勢いで入っちゃったけど、大丈夫?もしかしてかなり酔ってるんじゃない?」
心配する梨美に大丈夫大丈夫、と答えながらも、暗い店内と静かな音楽にだんだんと引き込まれ、思考が徐々に鈍っていく。
先ほどのダイニングカフェで飲んだアルコールが今頃回ってきたのだろうか。お酒に酔う、という感覚になるのは、一体いつぶりだろう。
甘さと辛さを交互に欲し、両方を永遠と味わう。私たち人間の何かを欲する欲望は、消えることがない。
その後は、梨美の仕事の話、恋愛に発展しそうだけど向こうの態度がはっきりせず煮え切らない男性の話などが続く。元々アルコールに弱い体質の私だが、今日は喉の乾きが止まらず、ドリンクを飲む手も止まらない。
そろそろ帰ろうかという頃、伝票を見ると、私は自分が酔ってしまう限界量にギリギリ達しないくらいの数のアルコールを飲んでしまっていた。
いちど、外へ出てみれば、何かが変わるかもしれない。何も変わらなくても、気分だけは紛れるかもしれない。
だんだんと酔いがまわってきた私は梨美を連れ、駅から離れた奥のほうの路地へ歩いて行ってみることにした。
そうしてやってきたのが、都心のにぎやかな駅前から少し離れたところにある「Signal」というバーだった。
気重な気分を紛らわせるために小洒落たバーを選ぶなんて、我ながら安直すぎる。だけど今夜は、このまままっすぐ家に帰るつもりはなかった。
濃い茶色の看板を横目に、地下にある扉を開けると、内装が茶色と黒で統一された暗い店内が広がっている。カウンターの向こうにはおそらく40代と20代の男性のバーテンダーが2人おり、テーブル席には1組のカップルのような男女が座り、静かにグラスを傾けていた。
いらっしゃいませ、と若いバーテンダーに迎えられた私たちは、カウンター席に通される。いかにも落ち着きのあるバーといった雰囲気の静かなピアノの音楽が流れる、心地のいいお店…。
「初めての方ですよね?1杯目は何をお飲みになりますか?」
「私、こういうところのお酒はあまりわからなくて…」
「では、お好みに合わせたものをお作りさせていただきますよ。苦手なものなどはありますか?
「いえ、特にないので…お任せします」
「ちょっと…勢いで入っちゃったけど、大丈夫?もしかしてかなり酔ってるんじゃない?」
心配する梨美に大丈夫大丈夫、と答えながらも、暗い店内と静かな音楽にだんだんと引き込まれ、思考が徐々に鈍っていく。
先ほどのダイニングカフェで飲んだアルコールが今頃回ってきたのだろうか。お酒に酔う、という感覚になるのは、一体いつぶりだろう。

