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ランジェリー騎士団
第1章 フェレリー・バローミュール

 警護料とは、そもそもは商店街の店主たちが個々の警ら隊員の苦労をねぎらって金銭を渡したのが始まりの心づけ金だ。
 何かあったとき、自分の店にははからいを良くしてくれるようにという下心もあってのこと。ところが、それは今や公然の慣習となって、警ら隊のほうが当たり前のように要求するようになってしまっていた。

 それでも、もとはと言えば自分たちのまいた種なので、商売人たちは今更それに文句も言えず、渋々と支払いを続ける「みかじめ料」的悪習であった。当然、国を治める王の知るところになれば、ワコルらは処罰されるだろうが、そうなったときの仕返しが怖ろしくて敢えて公に訴える者はいなかった。

「で、でも、警護料は先週……」

 渡したばかりではないか。誰あろうワコル張本人に。

 しかし、店主が異を唱えよるより早く、警ら隊長は赤い下着をグルリと店主の頭に巻きつけて、グイと引き寄せた。そして今度こそ、凄んだ声を出す。

「警護っつーのは、毎日のことなんだぜ? 俺が必要っつったら、いつだって払わなきゃなんねーのさ! お前なあ、相手にここまで言わせるなよ……礼儀がなっちゃいないな! それでも商売人か?」
「ひいいっ!」
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