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ランジェリー騎士団
第1章 フェレリー・バローミュール

 時を改めて、とハロンが恐る恐る切り出そうとすると、下着の陳列台に鼻を突っ込んでいた警ら隊長はピタリと動きを止めた。
 そして、振り返った意味深な顔の口もとを、手にした赤いブラで隠すようにしてハロンの耳に近づける。

(た、大切な商品を、そんなふうに口に近づけないで……)

 もし、今女性客にこの有様を見られでもしたらイメージダウンもいい所だ。婦女というのは下着も好きだが、噂話はそれ以上に大好きなのだ。妙な風評が立てば女相手の客商売はやっていかれぬ。

「だ、旦那、その、申し訳ねえですが……」
「いやいや、失敬、すぐに行くよ。ただし、アレを受け取ってからじゃないとな」

 囁き声に少しだけドスが効いていると感じたのは気のせいか?
 アレと言われてハロンに心当たりはひとつしかない。

「アレって……も、もしかして警護料……ですかい?」
「もしかもハシカもねーよ、そうに決まってるだろ」

 おでこがくっつくほどの距離で睨みつけながらワコルが即座に返す。
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