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ランジェリー騎士団
第1章 フェレリー・バローミュール
店先に現れた女――彼女のことを知らぬ者はこの界隈にいない。
肩にかかる位置で綺麗に切り整えられた栗色の髪。きりっと引き締まった表情をしていながらも、頬から顎にかけての美しい曲線はどこか優し気で、見る者の心を和ませる。
そして、下着屋であれば、こういう女性にこそつけて欲しいランジェリーがいくつでもあるだろう形良く盛り上がった胸は、これからまだまだ女の盛りの登り坂であることを覗わせる可憐さを感じさせるヒップラインとともに革鎧で覆われ、腰にはワコルと同様剣を帯びている。
ローラルナ城下警ら隊の唯一の女性隊員、フェレリー・バローミュール。
ワコル率いる警ら隊の堕落の中で、ただひとり、真に市井に暮らす人々の味方と言える人物だ。
彼女は警護料を受け取らない。
そんなものがなくとも街の治安を守るのは当然の務めだと笑って固辞し、そして実際、何かもめごとや騒ぎが起きた時は真っ先に駆けつけてくれる。
警らの仕事とは関係ないのに、迷子の世話や地方から出てきた観光客の案内までかって出てくれ、その態度は心からこの国を、この街を愛しているからなのだと、周りの人々からの信頼と尊敬を一身に集めていた
そんな彼女が冷ややかな声で、ワコルに問いかける。
「……警護料がどうとかと聞こえましたが?」