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神さま、あと三日間だけ時間をください。
第1章 ♭眠れぬ夜♭
♭眠れぬ夜♭

 美海(みう)は小さく溜息を零し、鏡の中の自分を見つめた。三十九歳、子どもなし。家族は夫の琢郎だけ、現在は夫婦二人でN市内のマンションに住んでいる。夫は広告代理店に勤める営業マンで、美海とは大学時代のサークルで知り合った。
 友達の紹介があったとはいえ、一応、恋愛結婚だ。琢郎は美海より二つ年上の四十一歳である。それなりに楽しかった交際期間を経て結婚した二人は最初の方こそ周囲から羨ましがられるほどの熱々ぶりであったが、蜜月は長くは続かなかった。
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