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神さま、あと三日間だけ時間をください。
第1章 ♭眠れぬ夜♭
 琢郎の肩に手を乗せたまま、夫の背中に頬を預けようとしたまさにその寸前だった。
「止さないか!」
 氷の欠片を含んだような冷え切った声音が美海の心を切り裂いた。
 琢郎がガバと身を起こし、美海を見据えた。
「一体、今夜に限って、どうしたっていうんだ? 安っぽい下品な匂いをプンプンさせて、水商売の女のような格好をして」
 美海を見つめるその瞳もまた、真冬の海のように冷たかった。心なしか、その奥底にはかすかな蔑みすら込められているようで。
 ああ、私たちはもうこれでおしまいなのだ。
 美海の心に絶望がひたひたと押し寄せてくる。
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