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神さま、あと三日間だけ時間をください。
第1章 ♭眠れぬ夜♭
 ストレートに〝しない?〟と口にできるほどの勇気も大胆さもおよそ持ち合わせてはいない。良くも悪くも、それが自分という人間なのだ。
「ねえ、琢ちゃん」
 交際期間、美海は夫を〝琢ちゃん〟とふざけて呼ぶことがあった。それは大抵、二人が良い雰囲気のときに限っており、琢郎は美海からそう呼ばれると、すごぶる機嫌が良くなったものだ。
 しかし―。今夜はどうやら、美海のとんだ見当違いだったようである。というより、既に琢郎という男そのものが変わってしまったのかもしれない。美海がこの十一年の結婚生活で変わってしまったように。
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