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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第6章 【回想】里見くんの願望
「漫画でもあるじゃん、先生を好きになって先生になるってパターン!」
「えー、それなら先生と生徒じゃない?」
「ドラマだと先生同士もあるじゃん!」
先生と生徒。
小夜先生は女子の会話を聞きながら、困ったような笑みを浮かべている。
先生と、生徒。
困ったままの小夜先生と目が合う。
……先生と生徒。
俺を見つめた小夜先生の唇が動く。
『が・ん・ば・れ』
口角をあげて微笑んだその唇は、柔らかいのだろうか。
知りたい。
どんな味がするのだろうか。
知りたい。
どんなふうに、俺の名前を呼んでくれるのだろうか。
知りたい。
唇をふさいだら、どんなふうに俺を求めてくれるのだろうか。
知りたい、けど。
その白い肌に舌を這わせたら、どんなふうに喘いでくれるのだろうか。
知りたい、のに。
あなたをまだ、求めることができない。
もどかしい。辛い。しんどい。
どうしようもない、迷路だ。
出口は、まだ、先。
運良く出られても、まださらに別の迷路が出てくる可能性もある。
好きだ。小夜先生。好きだ。大好きだ。
好き、が増殖して、止まらない――。