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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第7章 しのちゃんの受難(四)
里見くんは、一瞬目を見開いたあと、ゆっくり、今度は優しい声で、愛の言葉を紡ぐ。
「俺は、小夜先生のことが好きです」
うん。
「小夜先生のことを愛しています」
うん。
「来年、結婚したいです」
来年は早くないですか?
「あなたが欲しい」
こちんと額がぶつかる。
「あなたしか、いらない」
里見くんの瞳の中に、私が映る。
「あなただけが、欲しい」
もっと。
「小夜」
もっと、求めて。
「小夜」
もっと――言って。
「好き」
目を閉じるのと、里見くんの唇が触れるのと、どちらが早かったのか、結局わからなかった。