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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第7章 しのちゃんの受難(四)
「高村礼二も、稲垣も、かなりの浮気性なのに、どうしてそういう男ばかり選ぶんですか! 俺に対する嫌がらせですか!?」
「その、そういうわけでは」
「だって、俺は!!」
二の腕を掴まれる。いたた、痛い、痛い。力、強いよ。
目の前に里見くんの顔が迫る。逃げようとしたけれど、後ろは流しだ。逃げられない。
「俺は!」
里見くんの顔が目の前に。
「こんなにも、小夜先生だけが欲しいのに!」
欲しい。あなたが欲しい。
それは、里見くんの想いだ。ずっと一貫している、里見くんの想い。
そうやって、一途に想われることに慣れていない私に、君は一生懸命愛をぶつけてくる。
その労力が、いかほどのものかはわからないけれど、見返りもないのなら、どれだけ苦しいことか。
どれだけ辛いことか。
どれだけ悲しいことか。
本当は、私だけ愛してほしかった、と、私は結局礼二に伝えていない。
礼二に一途さを求めてはいけない、あの人はそういう人だ、と、諦めていた。
諦めていた。
愛されることを、諦めてしまった。
「さと、み、くん」
声が震える。口の中がカラカラだ。水が欲しい。潤して欲しい。
「もう一回、言って」
「その、そういうわけでは」
「だって、俺は!!」
二の腕を掴まれる。いたた、痛い、痛い。力、強いよ。
目の前に里見くんの顔が迫る。逃げようとしたけれど、後ろは流しだ。逃げられない。
「俺は!」
里見くんの顔が目の前に。
「こんなにも、小夜先生だけが欲しいのに!」
欲しい。あなたが欲しい。
それは、里見くんの想いだ。ずっと一貫している、里見くんの想い。
そうやって、一途に想われることに慣れていない私に、君は一生懸命愛をぶつけてくる。
その労力が、いかほどのものかはわからないけれど、見返りもないのなら、どれだけ苦しいことか。
どれだけ辛いことか。
どれだけ悲しいことか。
本当は、私だけ愛してほしかった、と、私は結局礼二に伝えていない。
礼二に一途さを求めてはいけない、あの人はそういう人だ、と、諦めていた。
諦めていた。
愛されることを、諦めてしまった。
「さと、み、くん」
声が震える。口の中がカラカラだ。水が欲しい。潤して欲しい。
「もう一回、言って」