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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「それに、小夜があまりにかわいくて。手加減できなかった。つらかった?」
「……しんどかった」
「ごめん。次からは『やだ』と『だめ』はあんまり言わないでね。しんどくさせたくないから」

 鬼畜か!
 まさかそのルールはずっと生き続けるの!?

「……善処、します」
「うん、ありがと。ティッシュ使う?」
「バスタオルで拭くからいいよ」

 濡れていないところで陰部を拭いて、バスタオルで前を隠しながら部屋に散乱した衣類を拾う。
 ショーツは一番に宗介の手の中に収まっており、勝手に匂いを嗅がれていた。変態!!
 新しいショーツと下着やらをクローゼットから出して、上機嫌の全裸の恋人を見る。彼は隠すということをしないみたいだ。

「シャワー浴びる?」
「うん。一緒に入ろう。お湯は張らなくてもいいよ。湯船にはご飯食べたあとに入ろう」

 それが当然とばかりに宗介は笑う。

「ねぇ、小夜」
「うん?」

 リビングへの扉を開ける寸前、全裸の私は同じく全裸の恋人に抱きすくめられて、硬直した。
 熱い肌が、先ほどまでの情事を思い出させる。
 するすると胸のあたりを撫で上げられると、ゾクゾクする。

「結婚式は、来年の夏休みにしよう。仲人はクマ先生でいいよね。四組の生徒は皆呼ぼうね」

 耳元で聞こえたひどく甘い声に、私は一瞬言葉に詰まって、「そう、だね」とようやく言葉を絞り出すことに成功した。

 ……結婚するって言っちゃったの、忘れてた!
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