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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第12章 しのちゃんの受難(七)

 あたたかい。
 人の肌のあたたかさだ。
 気持ちいい。
 このまままどろんでいたい。
 ……今日は予定があった気がする。

「ん」

 スマートフォンを取ろうとして手を上げようとした瞬間に、暖かいものに触れた。驚いて目を開けると、誰かの唇が目の前にあった。

「!?」

 顔の持ち主を慌てて見上げると、里見宗介。礼二ではない。ビックリした。

 宗介の腕枕で、彼と裸で抱き合っている。少し足を動かして確認すると、お互いに下着は穿いている。ようだ。
 Tシャツを着て寝たはずなのに、見当たらない。
 ……脱がされた? 油断も隙もありゃしない。

 それにしても……私、二週間で落ちたのか。

 宗介の六年間の執念が実ったということだ。
 情けないやら、恥ずかしいやらで、とても複雑な気分だ。

 宗介の髭は薄い。少ししか生えていない。一日くらい剃らなくても大丈夫そうだ。指で髭を触ると、ジョリジョリしている。痛い。
 あ、まつ毛長い。うらやましい。
 鼻毛は出ていないけど、鼻の穴は、へえ、そんな形。
 あ、ほくろ発見。眉毛に近いし小さいから目立たないんだなぁ。
 耳朶は柔らかい。福耳ではないけれど。
 腕も胸も筋肉質だ。鍛えているのだろうか。お腹は、若干、肉付きがよいけれど。
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