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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第12章 しのちゃんの受難(七)
「体が辛いなら俺が代わりに行こうか?」
「でも」
「だいぶ無理させちゃったことはわかっているから、その償いをさせてよ」
償いがお使いであっても、荷物持ちであっても、私としては非常に助かるのだけれど。
「雨降ってるけど、一緒に行こう? 珈琲館の個室を予約してあるから」
「じゃあ、荷物は持たせてね」
うんうんと適当に返事をして、トーストをかじる。ベーコンエッグもペロリと食べてしまう。コーヒーも少しぬるくなっていたので一気に飲んでしまう。
かなりお腹が空いていたみたいだ。
そんな私の食欲を見て、宗介は微笑む。
「口に合ったようで良かった。お昼は珈琲館でランチでも食べようか」
「うん。ご馳走様でした。じゃあ、シャワー浴びたあとに出掛けよう」
良かった。
これで一日デートしようなんて言われたら、たぶん、明日の仕事に差し障る気がする。ゆっくり休みたいけど、珈琲館までの往復なら何とかなりそうだ。
「じゃあ、一緒にシャワー浴びよう」
トレイを片付けながら、入るのが当然のように宗介は微笑む。「一緒に」と言われるのにも、もう慣れた。
「お風呂ではしないでね?」
「しないよ。ゴムつけるの難しいし、小夜の体もしんどそうだし」
自制心のある人で良かった。本当に。
Tシャツで前を隠しながら、寝室を出る。あぁ、もう、本当に。
――歩くの、つらい。